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ブックマーク / blog.szk.cc (3)

  • 『君の名は。』と「蝶々結び」――結びの物語

    これまでも新海作品には触れてきたし、そこで描かれる作品構造についてもいろいろと考えてきた自分としては、『君の名は。』が事前評判通りに大ヒットしていると聞いては見ないわけにいかないだろうということで、公開二週目の週末に鑑賞してきた。梅田の映画館は満席で、上映後にはあちこちからすすり泣きの声が聴こえるという状態。数字という面だけでなく、質的にも大ヒットと言っていいだろう。 僕の中で新海誠の作品は、いつも「セカイ系」という名前でくくられていたように思う。あえて雑な見方を提示するなら、ここで「セカイ系」は、「きみとぼくの物語が世界の危機に直結されており、二人の関係が成就することで世界もまた救われる」という構造を持つ一連の作品を指す。また、そうしたミクロなセカイの幸せがマクロな世界を救うという楽観的な発想も、ときに批判の対象となる。そこで新海作品は、『ほしのこえ』がそうであったように「設定としてあり

    『君の名は。』と「蝶々結び」――結びの物語
  • 「スマホ依存」に対する誤解

    信州大学の入学式における、山沢学長のスピーチが話題になっている。先行する記事で「スマホやめるか、大学やめるか」の見出しとともに 山沢学長は、昨今の若者世代がスマートフォン偏重や依存症になっている風潮を憂慮。「スイッチを切ってを読み、友だちと話し、自分で考える習慣をつけ、物事を根から考えて全力で行動することが独創性豊かな学生を育てる」と語りかけた。 と報じられたのが原因だ。この記述だけでもちょっとまずいな、と思っていたのだけど、全文を読んでみて、その思いが確かになった。なので、この件について手短に。 まず、全文が出たことで「やっぱり言ってることはまともだった」という感想が多いことについて、僕も異論はない。最初から「大学でスマホを禁止する」などと言っているとは思わなかったし、入学式のスピーチでそんな極端なことを言うはずもないだろうと思っていたからだ。 だが問題なのは、「スマホ依存症」に対す

    「スマホ依存」に対する誤解
  • なぜ、ポエムで組織はカルト化するのか〜2014年の振り返り(3)

    いつも時代の3年先というか、みんなが気がつく頃には自分の関心は薄れているようなことにアンテナを張って生きているのだけど、今年話題になったものでいうと、いわゆる「ポエム化」の話かなと思う。ブラック労働とポエムの相性がいいというのは、自分的には周知の事実だと思っていたし、だからこそクロ現の企画も受け入れられたのだと思うけれど、それにしてもあらためて映像化されて驚いたという人も多かったのだろうか。 いまの勤め先に入ってから、学生たちの関心もあって、それまで格的に手を付けてはいなかった消費社会研究に取り組むことになったのだけど、そこで見えてきたものの中には、たとえば再魔術化やディズニー化といったショッピングモール論につながる話や、以前の自分の研究とつながる話なんかと並んで、『サブカル・ニッポンの新自由主義』で扱ったサービス労働と若者の自己意識の話の延長になる、「感情労働」などの現代的なサービスの

    なぜ、ポエムで組織はカルト化するのか〜2014年の振り返り(3)
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