アニメ人気は世相を映すというが、爆発的ヒットとなった「鬼滅の刃」に続いて、最近は「スーパーカブ」や「ましろのおと」など、決して派手とはいえないアニメ作品がヒットしている。 トレンディドラマが盛り上がったバブル期とは好対照な現象であり、極端にいえば「おしん」が国民的人気ドラマとなった遠い昭和の時代に逆戻りしたかのような錯覚すら覚える。背景にあるのは、少子高齢化と経済の停滞で、先進国から脱落しつつある今日の日本の空気感ではないか――そう指摘するのはマーケッターで流通ストラテジストの小島健輔氏だ。 「勧善懲悪」ではない 週刊少年ジャンプの連載に発してコミックの単行本が電子版も含め累計で1億5000万部を突破し、20年10月に公開された劇場版「『鬼滅の刃』無限列車編」は日本歴代興行収入第一位、海外でも20年の興行収入第一位を獲得する爆発的ヒットとなり、老若男女を問わずコロナ禍の国民感情に刺さったと