タイトルからすると、ここ最近の安倍政権を批判した本にも思えますが、そこは『官僚制批判の論理と心理』(中公新書)で、ウェーバーをはじめトクヴィル、アーレント、フーコー、ルーマンなどを参照しながら官僚機構の肥大化と官僚批判のメカニズムを論じてみせた著者、もっと広い視野と長いスパンで官僚制を論じています。 中身は著者がさまざまな雑誌などに発表してきたものと書き下ろしの「政治学エッセイ」からなっており、現在の官僚制の問題だけではなく、「アイヒマンは本当に『悪の陳腐さ』を表す人間だったのか?」など、いろいろな論点を含んでいます。 ここでそのすべてを紹介する余裕はないので、一番面白く感じた最後の第11章からさかのぼる形で簡単に内容を紹介していこうと思います。 目次は以下の通り。 序章 今日の文脈 第1章 官僚制と文書―バルザック・ウェーバー・グレーバー 第2章 脱官僚と決定の負荷―政治的ロマン主義をめ