実際の労働時間にかかわらず一定の時間働いたとみなす「裁量労働制」の対象拡大を巡る国の議論が大詰めを迎えている。経営側は「制度の満足度は高い」として拡大を求める一方、適用者の1割近くが「過労死ライン」の労働時間に達するなど運用面の危うさから慎重論は強い。裁量制で働いた当事者は「働かせ放題にできる制度では、もう働きたくない」と話した。(畑間香織)
専門職の人の労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度が、導入を主導した安倍晋三元首相らの当時の説明と懸け離れた運用になっている。経験が浅く希望もしていない人が高プロを適用された疑念が直近の調査で浮上。当時も今も所管の厚生労働相を務める加藤勝信氏は、当初の説明通りになっていない実態を指摘されても正面から答えず、制度を見直さない姿勢を示した。(池尾伸一、写真も) 高度プロフェッショナル制度 証券トレーダー、コンサルタントなど5業種の年収1075万円以上の社員を対象に労働時間の上限規制を外す制度。安倍晋三政権が政治主導で立案、過労死遺族や労働組合は「過労死を増やす」と反対したが2019年4月に導入された。今年3月末時点で21社22職場で665人に適用。2カ所の職場で在社時間と社外の労働時間の合計が月間400時間以上に達し、「過労死ライン」(残業含む労働時間月約273時間)を大幅に上回
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感染症科の医師が月300時間超の残業をしていたことが判明した東京都立駒込病院=東京都文京区本駒込で2021年5月11日午前10時21分、酒井雅浩撮影 感染症指定医療機関の東京都立駒込病院(文京区)の感染症科に勤務する医師が、新型コロナウイルス感染症患者の治療などにより4カ月で1180時間の時間外労働(残業)をしていたことが、都への情報公開請求で判明した。最も多い月は327時間に上り、過労死の労災が認められる目安(複数月の平均で80時間)や、都と病院の労使協定(36協定)で定めた上限(原則月100時間)を大きく超える。感染拡大の中で、コロナ患者に対応する医師が過重な負担を抱えて働いていることが浮き彫りになった。 都立駒込病院は昨年1月に中国・武漢で感染した帰国邦人を受け入れて以降、積極的にコロナ患者治療に取り組んできた拠点の一つ。毎日新聞は今年1月、都立駒込病院の常勤医師の残業時間について情
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