公立はこだて未来大の松原仁教授らのグループは、人工知能(AI)を使ってSF作家・星新一の「新作」をつくる研究プロジェクトを進めている。その過程で生まれた、「超ショートショート」小説を公開する。松原教授は「今のところ、貢献度は人間が8割でコンピューターは2割程度にとどまる。これからさらにAIの比率を高めていきたい」と話している。 ◇ スマホが鳴った。 深夜一時ころ。ここは研究室の中。 鈴木邦男は、先月ここに配属されたばかりであるが、平均帰宅時間はすでに深夜零時を超えている。 邦男は大きなあくびをしながら、ポケットの中からスマホを取り出した。 「鈴木邦男さんですか?」 「はい、あなたは?」 「わたしは悪魔」 「イタズラならよしてくれ。僕はいまレポートで忙しいんだ」 「なんでも一つ願いを叶えてみせましょう」 「バカバカしい、さあ、切りますよ」 「お待ちください、一度試してみてからでも損はないでし