デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する 作者: 吉川洋出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/01/19メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 71回この商品を含むブログ (14件) を見る 本書では、最初に、マスコミの論調を取り入れながらこの15年間のデフレーションをめぐる議論の動向を概観し、途中、大不況期の議論を挟んで、最後に理論的視点から、日本のデフレーションの特徴と原因を探るという構成がとられている。 本稿では、第3章の大不況期に関する議論から振り返ってみる。まず、大不況期といえば1939年代の世界不況を思い浮かべるが、筆者は、日本のデフレーションはこれとは異なり、19世紀末の英国の状況に似ているという。この時の英国は、だらだらと四半世紀の間、物価が緩やかに下落し続けた。一方、1930年代の世界不況は、リーマン・ショックに端を発した経済危機の時と同様