経済のプリズム No114 2013.6 1 我が国における物価の現状と物価の変動要因の整理 調査情報担当室 鈴木 克洋 1.はじめに 1991 年にバブル景気が崩壊して以降、 「失われた 20 年」ともいわれるように 我が国経済は長期的な停滞を続けている1 。 また、 これを背景として物価面では、 GDPデフレーターが 1994 年半ばから2 、消費者物価指数(除く生鮮食品)は 2000 年頃から低下傾向を示しており、いわゆる「デフレ」状態となっている。 現在、このデフレからの脱却を果たすことが我が国における重要な課題の一つ となっているが、このデフレに陥った要因や長期経済停滞との因果関係につい ては様々な議論があり、それに伴って処方箋も異なってくることになる。 本稿では、こうした議論に当たって、そもそも物価とは何か、我が国の物価 情勢、物価の決定要因など物価を巡る課題について整理する。