69歳、無所属新人。政治経験はゼロ。脱サラして開いた食堂を4年前にたたみ、いまは妻と2人で年金ぐらし。 京都市議選に初めて立候補した表雅敏さんは、投開票日の4月9日夜、左京区内の自宅兼選挙事務所で開票番組を見ていた。妻の久美子さん(67)と2人だけで。 「わくわくやね。ぶっちゃけ、反応はあんねやけど、自転車は回れるところが限られるから」 午後11時10分。テレビが左京区の開票状況を速報した。開票率は23%。8議席をめぐって14人が立候補する激戦で、13人が1000票で並んでいた。 その中で表さんだけが「0」。 「これはやばいわ。99・9%しんどいな。票数があとどれだけ伸びるかやな」。表さんは苦笑いを浮かべた。久美子さんは「50万円は取り戻してほしいな」とこぼした。 政令指定都市の市議会議員選挙では、選挙区ごとに有効投票総数を議員定数で割り、その10分の1に達しなければ、立候補に際して必要な