春めいた頃より春が本番ともなりますと、釣り師は、がぜん活発にうごめきだしますもので、これがあの体たらくをかこった同じ人物かと見まがうばかりの働きぶりですから、死に体だとばかり思って棒切れで無造作につつくと、がぜんかみつきますから注意が必要でございます。 春と言いますのは、釣り師のみならず生きとし生けるものみな活動的になり、なおかつ繁殖活動にも精を出すこととなってまいります。 人様というのは様々なところですが、どちらさんも恋の病で上の空、心ここにあらずということは経験するところでございます。 発情期とでも申しましょうか、心ここにあらずの石田配達営業マンというのも人生二度目の発情期を迎えて、今日も仕事は二の次、いい加減な仕事を楽しんでおるのです。 石田営業マンは半ば会社を食い物にするといったほうがいいぐらいの、いわばブラック社員とでもいうべき人物で、社業には適当にしか力を入れませんし、あまり頼