【ワシントン=山田哲朗】権威ある英医学誌ランセットは9月1日付の電子版で、日本が1961年に国民皆保険制度を導入して50年を迎えたことを記念した特集を組み、日本の介護保険制度、自殺率、長寿などについての論文8本を掲載する。 池上直己・慶大教授らは特集の論考で、国際的に見れば低い医療費で公平な保険制度を構築できた要因として、並行して進めた公衆衛生政策のほか、経済成長、高い識字率、教育水準、伝統的な食習慣と運動などをあげた。 ただ、現状は人口の高齢化、政治停滞、景気低迷などで、「日本の保険医療制度は大きな課題に直面している」と指摘した。筆者の1人、クリストファー・マレー米ワシントン大保健指標評価研究所長も「過去の成功は必ずしも将来のトップレベルの成果を保証しない」と警告している。