東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数 倒閣運動では森友事件の問題解決にならない(※写真はイメージ) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 森友学園問題が新展開を迎えた。財務省が国会に提出した14の文書が修正され、首相夫人や与党政治家の名前が消されていたのである。 筆者はある時期から森友問題に関心を失っていた。1年前に問題が報じられ始めたとき、疑惑の焦点は、政権が国有地払い下げに違法な介入を行ったかどうかにあった。しかし違