妊娠中であることを示す「マタニティーマーク」を厚生労働省が定めて今年で10年目。全国の自治体が妊婦にキーホルダーなどのグッズ類を配布しているが、「反感を持たれそう」などと使用を控える動きが広がりつつある。同省は「本来の趣旨が理解されていない」として、より啓発に力を入れていくという。 11月出産予定の大阪市の会社員(39)は、母子手帳取得時に市からストラップを渡されたが、使っていない。「暴言や暴力の標的になるとネットで見て、怖くなった」。10月に出産した東京都の会社員(33)は使わず捨ててしまった。「電車で席を譲れと圧力をかけるようで気が引けた」 ピンクのハートに母子をあしらったデザインは、2006年3月に厚労省が公募で選んだ。おなかの目立たない妊娠初期ほど重いつわりに悩むケースが多く、配慮を呼びかけるものだ。他にも受動喫煙の防止や、体調不良、災害時に妊娠中と知らせる役割もある。鉄道など交通