【北京=加藤隆則】1989年の天安門事件で武力弾圧に反対し、その後も言論の自由を主張し続けた元中国共産党機関紙「人民日報」社長の胡績偉氏が16日、病気のため北京で死去したことが17日、関係者の話で明らかになった。 96歳。中国メディアは報道を禁じられ、インターネットでも追悼の書き込みが削除されている。 胡氏は四川省出身。建国前から宣伝工作にかかわり、76年から83年まで同紙で編集長や社長を務めた。改革派知識人のリーダー的存在で、胡耀邦、趙紫陽の両総書記による政治改革を支持。報道の自由を保障する新聞法の制定を目指したが、天安門事件で失脚した。 全国人民代表大会常務委員などを解任され、6年間、党による監察下で自己批判を求められたが拒否。その後は公開書簡などで言論の自由を訴え続け、同関係者によると、「亡くなる直前まで天安門事件の再評価を求めていた」という。