岸田文雄首相も小池百合子東京都知事も、年明けすぐに少子化対策の重視を掲げた。コラムニストの河崎環さんは「日本では女性が地方を見限って東京に流出し続けており、こうした現状を直視しないままで少子化対策を考えても効果は上がらない。そしてこれは、米国や欧州で起きているような“分断”が、日本でも起こっていることを表している」という――。 「Z世代なんて存在しない」 「いまのメディアが定義してもてはやす“Z世代”の条件を満たす若者は、実は日本中に1割も存在しないようだ」という衝撃的な調査報告を聞いたのは、昨年夏のことだった。 それは広告代理店による非公式の報告で、都市部と地方の若者を多様な属性で満遍まんべんなくサンプリングし、その購買パターンやメディア利用などの日常の行動特性、そして正直な価値観(例えば大学のAO推薦入試書類に記入するようなよそいきの価値観ではない、という意味)を抽出したものだった。