はじめに ディジタルフィルタ、 FIRフィルタ、IIR フィルタ、とくに逆フィルタの基礎的事項について考える。 ディジタルフィルタは、難しい理論から、当り前の技術にならなければならない。コンデンサと抵抗と OP アンプしかない時代においては、信号を数値として扱うディジタルフィルタは、高価な夢の技術であった。 ところが今、ディジタルコンピュータの普及と高度化によってその環境はあり得ないほど一変してしまった。 オーディオへの応用で、私は 1999 年に、PC の能力で 44.1 kHz のステレオのサンプルに対してリアル タイムに 400 個の係数の積和処理が可能であることを確認したことがある。そのとき思ったことは、 数100個の FIR が使えるときに私の知識は、まだ数タップのフィルタを扱うことしかできていない。 大量のタップ数を扱う技術は、古典的なフィルタの設計技術から別の領域の別ものに