為末大学 オリンピックを考える◆為末大(ためすえ・だい)1978年(昭和53年)5月3日、広島市生まれ。広島皆実高-法大。400m障害で世界選手権で2度(01年、05 年)銅メダル。五輪は00年シドニー、04年アテネ、08年北京と3大会連続出場。自己ベストの47秒89は、現在も日本最高記録。12年6月の日本選手権 で現役引退。現在は社会イベントを主宰する傍ら、講演活動、執筆業、テレビのコメンテーターなどマルチな才能を発揮。爲末大学の公式サイトは、http://tamesue.jp/ 今回ほど、心の存在を思い知らされた五輪はなかったように思う。選手たちは皆、試合前に大きな重圧と向き合う。そのやり方は誰も教えてくれない。自分自身でつかみ取って行くしかない。 2008年北京五輪代表を決定する陸上の日本選手権の時だった。その年の春先に足を痛め、その後は満足な練習ができず、本番を迎えた。予選を通過し