息子がこの筆跡を見つけてくれれば ロシア軍に捕虜にされた52歳の女性は、監禁場所で釘を拾い上げると、レンガの壁に「ALLA(アラ)」と自分の名前を刻み込んだ。 その下には、地元の診療所の外にある小屋に拘束された日数を刻みつけた。上には、監禁中にどんなことに耐えてきたかをシンプルな言葉で書き記した。 「電気ショック」「裸にされた」「痛み」 自分に万が一のことがあっても、息子がそれを見れば、母の最期に何が起きたかを知る手がかりになると思ったからだ。 「息子が私を探してくれれば、この筆跡を見つけて、私がここにいてここで死んだことを理解してくれると思いました」と彼女は振り返る。 ウクライナ北東部ハリコフ州の都市イジュームにあるこの小さな小屋には、アラが刻んだ文字の一部が残っている。イジュームを占領していたロシア軍は7月、彼女を小屋に10日間監禁し、拷問やレイプ、暴行を加えたという。 アラを拘束した