(2010年5月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 韓国には統一省がある。それはちょうど米国の老舗百貨店メイシーズにサンタクロースがいるようなもので、子供たちに話して聞かせるにはいい話だ。だが、ソウルに立ち寄っただけでも、再統一を望む韓国人がほとんどいないことが分かる。 1953年に停戦に至った内戦によって無残に引き裂かれ、長く生き分かれた家族と再会したいという切なる願いについて語るのは素晴らしいことだ。だが現実には、多くの韓国人は、「田舎者」の北朝鮮人を鼻であしらい、自分たちの豊かな輝く国と、後進的で老朽化した国、北朝鮮との統一に伴う多大な社会的、経済的コストを懸念している。 絵空事のような平和的再統一 北朝鮮との友好関係を目指す太陽政策を見限り、冷淡な態度を決め込む韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、昨年のインタビューで、再統一という絵空事を擁護してみせた。「最後の局面は朝鮮半