本稿では1998年、keyの前身であるTacticsが発売した『ONE~輝く季節へ~』を里村茜ルートを中心に読解する。本作では《えいえん》という異世界が主要な道具立てになっている。《えいえん》が筋書きに大きく関わるのは茜ルートのみであり、そのため、茜ルートが本作の主要なルートだと言える。 読解の構成としては、まず、茜ルートの筋書きを確認しつつ、《えいえん》の表象するものを考察し、そののちに、茜ルートおよび作品そのものの主題を読解する。 茜ルートの特色は、茜が《えいえん》を経験として知っていることだ。雨の日は、茜はある空地で誰かを待っている。個別ルートに入ったのち、その人物が《えいえん》に行った幼なじみであることがわかる。 主人公の浩平は、茜にそのことの精神的な決着をつけさせる。そのことを通じ、浩平と茜は愛しあうようになる。しかし、物語の終結部において浩平も《えいえん》に行ってしまう。エンデ
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