野田佳彦首相が19日に会談した細川護熙元首相から「脱原発」方針を明確に打ち出すよう詰め寄られていたことが分かった。 会談は東京都内の美術館で開かれている細川氏の個展を首相が鑑賞した際、2人だけで約40分間行われた。細川氏は首相の後見人とも言える存在だが「脱原発で旗幟(きし)を鮮明にすべきだ」とアドバイスしても、首相は「来年6月に新しいエネルギー政策を決める」として最後まで首を縦に振らなかった。細川氏は「遅い。早くしないと国民が野田政権を見限ってしまう」と迫ったという。 首相は原発への依存度を徐々に下げる「脱原発依存」の立場で、原発ゼロを目指す脱原発とは一線を画している。運転停止中の原発も安全性が確認されて地元の理解が得られれば再稼働させ、新増設も建設の進捗(しんちょく)状況などによって容認する姿勢を示している。