梶田隆章(かじた・たかあき) 東京大宇宙線研究所長。素粒子・宇宙線物理学の分野で、ニュートリノ振動という現象をとらえ、ニュートリノに重さがあることを証明。宇宙の成り立ちや物質の起源の解明に大きな影響を与えた。2015年ノーベル物理学賞 重要な論文減少、深刻な問題――論文数などの減少にみられる日本の科学力の低下をどう見るか。 影響力の大きい重要な論文の数が減っているのは深刻な問題だ。これには、自分で研究テーマを決められる研究者の数、自由な研究にあてる時間、研究費が関係していると考えている。任期のない助教といった正規の職が大きく減っており、若い研究者の多くは自分の判断で研究を進めることができていない。それが最も大きな問題と思う。