1.はじめに 2014年に発覚したベネッセホールディングの1000万件超の大規模な個人情報漏洩事故について、個人情報を漏えいされた被害者側がベネッセに対して損害賠償を請求する民事訴訟が各地で行われています。そのなかで、経産省の個人情報保護ガイドラインの法的拘束力を認めつつ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のガイドラインの法的拘束力を認めなかった興味深い裁判例が出されています(千葉地裁平成30年6月20日判決、金融・商事判例1548号48頁、銀行法務21第834号70頁)。 ■関連するブログ記事 ・東京地裁のベネッセ個人情報漏洩事件の損害賠償請求訴訟で被害者側が敗訴-東京地判平成30・6・20 2.千葉地裁平成30年6月20日判決(請求棄却・確定) (1)事案の概要 (ア)概要 本件は、通信教育業大手のベネッセコーポレーションの大規模な個人情報漏えい事故について、その被害者側が不法行為