SF作家・山本弘のblogです。小説・アニメ・特撮・マンガから時事問題にいたるまで、いろんな話題を取り上げていきます。 HPはこちら。 山本弘のSF秘密基地 http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/ 年の瀬も迫ってきたので、今年中に済ませておきたい話題を。 実は去年(平成21年)、日本はものすごいいい年だったことをご存知だろうか? 平成22年版 警察白書 http://www.npa.go.jp/hakusyo/h22/index.html 第1章第1節「犯罪情勢とその対策」より、まずは「刑法犯により死亡し、又は傷害を受けた者の数の推移」を見てみよう。 平成16年 → 平成21年 死者 1397人 → 1054人 重傷者 3479人 → 2832人 軽傷者 4万3314人 → 2万9190人 次に「財産犯の被害額の推移」。 平成16年 → 平成21
90年代後半から犯罪が激増したとか、増えはしてないけど凶悪化した、という説は誤りである。これはもう旧聞に属すると言っていいだろう。しかしそれでは、何がどうなってそのような説が世に出てきたのだろうか。今回読んだ本、河合幹雄著、『安全神話崩壊のパラドックス 治安の法社会学』はその疑問にとても真摯に取り組んだ労作だった。本書を読んだ率直な感想は、増えたとか増えてないとか、そんなに簡単に言うんじゃない! というものだ。 本書は前半と後半に分けられる(と僕が勝手に思ってる)。前半では統計資料をこれでもかというくらいに丁寧に読み解き、これでもかというくらい丁寧に解説される。後半には日本が安全な社会である理由、そしてその社会はこれからも安全なのかという問い、さらに今後どうすべきかについての指針の提案、となっている。 前半の統計分析だが、これが実に見事だった。著者も書いているんだけど、専門家でもここまで詳
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