[第40回] 金融危機後のマクロ経済学 加藤涼 Ryo Kato 日本銀行金融研究所企画役 《要旨》2年前のリーマン・ショックを頂点とする金融危機は、従来のマクロ経済学の不十分さを突きつけた。しかし同時に、今後深めていくべき方向も明らかになってきた。研究と政策実務の双方が連携し、着実に歩みを進めるべきだ。 金融危機後、現在学界で主流になっているマクロ経済学に対しても批判の声が聞かれるようになった。「アメリカ型資本主義は死んだ」といったキャッチコピーと並んで、「危機を予期できなかったマクロ経済学も死んだ」とも語られた。 加藤涼氏 マクロ経済学に携わる者は、金融危機を予防できなかったという事実を重く受けとめ、批判にも耳を傾ける必要がある。しかし、資本主義が終焉(しゅうえん)していないように、マクロ経済学も死んでなどいない。むしろ現代的なマクロ経済学の手法は、金融危機を再発させないための仕組みづ
2010/11/167:0 北方領土問題〜大統領訪問の背景とロシアの見方 廣瀬陽子 ◇メドヴェージェフ大統領の北方領土訪問◇ 11月1日にロシアのメドヴェージェフ大統領が北方領土のひとつである国後島を、ソ連・ロシア歴代の首脳としてはじめて訪問したことは、日本に大きな衝撃を与えた。 ロシアとしては、北方領土はロシア領であるのだから、訪問の際に日本に了承を取る必要があるはずもなく、ましてや日本に訪問を止められる立場にもないという主張を繰り返すばかりだ。 なぜメドヴェージェフは北方領土訪問を敢行したのだろうか。理由は単純には語れず、多くの要素が複合的に絡み合っている。以下、考えられる理由を列挙してみよう。 ◇第一の理由 内政におけるアピール◇ 第一の理由としては、内政におけるアピールがあげられる。 2012年の大統領選挙、その前哨戦となる2011年の議会選挙を前に、ロシアは「政治の季節」を迎えた
(その1)では、高橋是清という人格の形成過程を明らかにすること、公職についた高橋がどのような形で独特の思想を育むに至ったのか、大恐慌時の財政金融政策をどう評価するか、そして高橋の政策が軍国主義の台頭に与えた役割、という著者が明示する4つの大きな論点のうちの前半2つの点について簡単にまとめてみた。その2では残りの2つの点のうち、大恐慌時の財政金融政策について感想を交えつつ敷衍してみよう。 3.大恐慌時の財政金融政策の評価(1)国際環境から見た昭和恐慌の特徴 まず著者の議論に耳を傾ける前に、昭和恐慌の特徴を国際的な相違に留意しながら見ていこう(伊藤正直(2010)『なぜ金融危機はくり返すのか』旬報社、中村隆英(1993)『日本経済-その成長と構造<第3版>』東京大学出版会、長幸男(2001)『昭和恐慌-日本ファシズム前夜』岩波書店、等を参照)。 ①長期停滞の後で生じた恐慌一つ目の特徴は、昭和恐
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