メイ・デイ 大間九郎 スオウ 「最前線」のスペシャル企画「最前線スペシャル」。期間限定公開のカレンダー小説第16弾。私は魔女だ。魔女であらねばならない。注目の新鋭、大間九郎が『最前線』に初登場! 5月1日(メーデー)に贈る、愛と闘争の物語。 私は魔女(まじょ)だ。魔女であらねばならない。私に母親はいない。父親は働かず、酒に酔い、私を叩き、蹴る。今どき風呂(ふろ)もないアパートで、暮らす親子二人。父親は生活保護で受け取る金をすべてアルコールに変えるので、まともに食べることもできない。食事は一日に一回、学校の給食だけだ。 先生は何度も私の生活についてきいた。 家に先生と子どもを保護したりする仕事の人が一緒に来たこともある。 民生委員さんが訪ねてきたこともある。 きっと、私が、父親を捨てれば、私は今よりかマシな生活、飢(う)えることのない、そんな生活を手に入れることができたのかもしれない。 でも