2月14日、政府は次期日銀総裁に東大名誉教授の植田和男氏を充てる人事を国会に提示、同氏の就任が確定的になった。 金融政策転換の可能性は当面高くない 植田氏は事前の候補としてメディアなどで挙げられておらず、筆者を含めた市場関係者にとって想定外だった。黒田東彦現総裁の体制下の終盤で2%インフレの完全実現が視野に入りつつある中、新たに発足する執行部が「長期金利ターゲット」など現行の金融政策をいつまで続けるかが注目される。 植田氏は10日にメディアへの応答で「現在の日銀の政策は適切であり、当面は金融緩和の継続が必要」との考えを示した。また2022年7月の論考では、日本でインフレ率が上昇している中で、「拙速な引き締めを避けよ」との標準的な見解を示している。これらの発言が意識されて、「当面、金融政策を大きく転換させる可能性は高くない」と認識されるだろう。 また、植田氏は金融緩和の効果を認識しつつも、一