日本の生産性が先進国の中で低いということは知られるようになった。生産性が低いということは実質所得が低いということであり、貧しいことである。 世界で広く使われている豊かさの指標は一人当たり実質購買力平価GDPである。日本は、この豊かさの指標で、韓国よりも貧しくなった。 まず事実を確認し、なぜそうなってしまったのかを考える。日本が遅れた理由として、多くの人が主張する、「日本はキャッチアップを終えて先進国になったのだから、もはやキャッチアップ型の成長はできない。これからの成長を支えるのは独自性と独創性だ」という言説にあると考える。しょうもない独自性と独創性にこだわるうちに、日本は豊かさにおいて、アメリカにキャッチアップするどころか、キャッチダウンし、シンガポール、香港、台湾、韓国に次々と抜かれることとなった。 1人当たり実質購買力平価GDPで見た日本の豊かさ 図1は、IMFが推計した主要国・地域