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ブックマーク / wedge.ismedia.jp (58)

  • 誰も助けてはくれない:中国進出が招く「人質化」リスク

    3月末、「アステラス製薬」の日人社員が、中国当局によって拘束されたことが判明し、在留邦人社会のみならず日政府にも衝撃をもたらした。当該社員は同社の中国関連事業を長年担い、日系企業団体の幹部も務めてきた人物とされるが、中国の「反スパイ法」(2014年施行)に違反したとの容疑をかけられ、現在も拘束が続いている。 この事件の背景には、明らかに日政府への牽制という意図がある。緊張の一途をたどる米中関係のなかで、岸田文雄政権は米国との連携を強め、海洋進出への対処、台湾問題、半導体技術に代表される輸出規制強化などをめぐって、中国に対して比較的強い態度で臨んできた。 一方で、中国は米国主導の「対中包囲網」拡大に神経を尖らせ、そこにくさびを打ち込むことを試みている。例えば今年に入ってからは、この数年悪化していた豪州との関係改善を図るなどの動きを見せている。 しかし、岸田政権は国内世論や米国への配慮も

    誰も助けてはくれない:中国進出が招く「人質化」リスク
  • W杯出場国のプレースタイルを安保の観点から読み解く(後編)

    11月20日にサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)が開幕し、カタールの地で国の威信をかけた熱戦が繰り広げられている。しかし、このW杯を選手、戦術、対戦カードに着目して観戦するだけではもったいない。 前編では、サッカーの潮流と政治の関係を中心に、スポーツジャーナリスト・河治良幸氏と安全保障専門家・高橋杉雄氏が語り合った。後編では、ロシアウクライナ戦争下での出場国の動きや日本代表への期待について、熱く議論する。 ​(聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎)

    W杯出場国のプレースタイルを安保の観点から読み解く(後編)
  • W杯出場国のプレースタイルを安保の観点から読み解く(前編)

    11月20日にサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)が開幕し、カタールで国の威信をかけた熱戦が繰り広げられている。しかし、このW杯を選手、戦術、対戦カードに着目して観戦するだけではもったいない。 長年、サッカー日本代表を分析するスポーツジャーナリスト・河治良幸氏と連日マスメディアでウクライナ情勢を分かりやすく解説する安全保障専門家・高橋杉雄氏に、『Wedge』らしい独自の切り口でワールドカップについて語っていただいた。 (聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎) なぜ私たちは 「サッカー」を語るのか 編集部(以下、――) お二人はどういう形でサッカーに携わってこられたのか。 河治 私は1990年代に大学院で歴史学、中でも黒人奴隷に関する研究をしていたが、もともとスポーツ全体に関心があった。当時、日本代表にトルシエ監督が就任した時期で、メディアの論調は彼に批判的なものが多かった。次第に「メディア

    W杯出場国のプレースタイルを安保の観点から読み解く(前編)
  • 農水省広報誌がケチャップで批判された理由

    ツイッター(Twitter)の農林水産省公式アカウントが、添加物を危険視する投稿をしたと批判され8月12日、投稿を削除しました。投稿の元になった農水省広報誌aff(あふ)2022年8月号の記事も同日、4カ所にわたって修正が加えられました。 朝日新聞が「添加物を危険視?農水省のツイートや広報誌記事、指摘受け修正・削除」と報じ、yahooニュースとしても流れたのですが、記事には1000件以上のコメントが付いており賛否両論。「誤ったメッセージを流した」などと農水省に反省を促す人たちがいる一方で、「添加物は危ないのに……」「業界の圧力に屈して削除したなら、品行政への信頼をむしろ損なう」など、削除修正を批判する人たちも少なくありません。 この話、どう考えるべきか? 私は、農水省の深刻な課題があらわになった、と思うのですが、話がけっこう複雑なので、多くの人がどうも表層的にしか理解していないようです。

    農水省広報誌がケチャップで批判された理由
  • なぜ、日本は韓国よりも貧しくなったのか

    の生産性が先進国の中で低いということは知られるようになった。生産性が低いということは実質所得が低いということであり、貧しいことである。 世界で広く使われている豊かさの指標は一人当たり実質購買力平価GDPである。日は、この豊かさの指標で、韓国よりも貧しくなった。 まず事実を確認し、なぜそうなってしまったのかを考える。日が遅れた理由として、多くの人が主張する、「日はキャッチアップを終えて先進国になったのだから、もはやキャッチアップ型の成長はできない。これからの成長を支えるのは独自性と独創性だ」という言説にあると考える。しょうもない独自性と独創性にこだわるうちに、日は豊かさにおいて、アメリカにキャッチアップするどころか、キャッチダウンし、シンガポール、香港、台湾韓国に次々と抜かれることとなった。 1人当たり実質購買力平価GDPで見た日の豊かさ 図1は、IMFが推計した主要国・地域

    なぜ、日本は韓国よりも貧しくなったのか
  • アグネス・チョウはなぜ『不協和音』を拘束中に思い浮かべたのか

    香港の民主活動家で、元政治団体「デモシスト」メンバーのアグネス・チョウ(周庭)さんが、10日夜8時(日時間9時)ごろに、香港・国家安全維持法に関する容疑で逮捕された。11日深夜に周庭さんは釈放されたが、そのときの日メディアの取材に「拘束されている時にずっと『不協和音』という日語の歌の歌詞が、頭の中に浮かんでいました」と述べている。なぜ「不協和音」なのか。それは彼女の歩んできた道と深く関わりがある。 周庭さんの逮捕後、日SNS上では「#Free Agnes」の呼びかけが広がるなど、大きな反響を呼んだ。ツイッターで46万人のフォロワーがいる彼女の知名度は日社会で非常に高い。逮捕時、白いシャツにスニーカーを履き、マスク姿で警察車両に乗せられて連行される姿は大きな衝撃を与えた。周庭さんは7日ごろからFacebookで「家の周囲に怪しい男たちがいて、家の写真を撮っている」と不安を口にして

    アグネス・チョウはなぜ『不協和音』を拘束中に思い浮かべたのか
  • 「香港はめっちゃバカバカしいことばかり。でも絶対に沈黙しない、最後の最後まで」

    香港政党「香港衆志(デモシスト)」常務委員 周庭さん(22)インタビュー 欅坂46の「不協和音」の歌詞に共感 野嶋:年末から年始にかけて、複数の香港関係のイベントに参加されて、日で過ごしたようですね。日滞在はいかがですか。 周:めっちゃ楽しんでます。昨日(2日)は1人カラオケで4時間熱唱しました。香港のカラオケでは日の歌が少ないので日では必ずカラオケに行ってます。J-POPをよく歌います。欅坂46が好きです。彼女たちの歌には社会性や叛逆性があるように思います。「不協和音」という歌が特に好きで、「僕はyes と言わない 首を縦に振らない まわりの誰もが頷いたとしても 僕はyes と言わない 絶対 沈黙しない 最後の最後まで抵抗し続ける」という歌詞にすごく共感し、自分たち(香港の若者)のことのように勝手に感じています。昨年(習近平の香港訪問の際の抗議行動で)警察に30時間拘束されたとき

    「香港はめっちゃバカバカしいことばかり。でも絶対に沈黙しない、最後の最後まで」
  • 「ヤマザキ」が“発がん物質”臭素酸カリウムの使用をわざわざ再開する理由

    批判も覚悟のうえで自ら情報提供 山崎製パン株式会社(ヤマザキ)が3月、一部の角パンに品添加物「臭素酸カリウム」を使い始めました。臭素酸カリウムは遺伝毒性発がん物質とされ、添加物批判の記事や書籍等では必ず、猛批判される物質。同社は、臭素酸カリウムを2014年以降は使っていませんでしたが、使用再開です。 しかも、2月25日からはウェブサイトで、自主的に使用再開を情報提供し始めました。法的には、告知する義務はないのに……。 さっそく同社に尋ねました。「発がん物質を品に使う? 週刊誌などからまた、猛烈にたたかれますよ」。答えは、「もっとおいしいパンを提供するために使いますが、安全は絶対に守ります。詳しく説明しますので、なんでも聞いてください」。 さっそく取材しました。添加物はイヤ、と思う皆さんにこそ読んでもらいたい、科学的根拠に基づく企業の毅然とした判断が、ここにはあります。 感改善に絶大

    「ヤマザキ」が“発がん物質”臭素酸カリウムの使用をわざわざ再開する理由
  • 〝三重苦〟の日本に30兆円規模の経済対策を

    昨年10〜12月期のGDP(国内総生産)速報値は衝撃を持って受け止められた。3月9日に発表された2次速報によると、前期比の実質GDPの成長率、いわゆる経済成長率は▲1・7%(年率▲7・1%)となった。民間消費支出と設備投資という二大項目がともに大幅な悪化となっている。これは今回より大きい3%の増税が行われた2014年の消費増税直後の▲1・9%(年率▲7・4%)に匹敵する急激な経済収縮である。 そのインパクトは前回増税時を上回るものであった可能性が高い。前回増税直前の14年1〜3月期には、駆け込み需要と相まって経済成長率は1%(年率4・1%)と比較的良好だった。一方、19年7〜9月期の経済成長率は0・1%(年率0・5%)である。今次の増税後の影響は、駆け込みと反動という側面からの説明が困難だろう。 今回の消費増税の特徴は、増税前後の商業販売の動向からも観察できる(下図参照)。販売側からとらえ

    〝三重苦〟の日本に30兆円規模の経済対策を
  • 中国人が監視国家でも「幸福」を感じられるワケ

    そんな中国の実態を、中国経済論が専門の神戸大学経済学部教授・梶谷懐さんと、中国問題が専門のジャーナリスト・高口康太さんが現地取材を交えながら執筆したのが『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書)だ。お二人に、「監視=幸福」という、一見、相反することがなぜ中国で成立しているのか? 聞いてみた。 「2017年前後、NYTやWSJなど海外メディアがデジタル化に伴う中国の監視国家にぶりに警鐘を鳴らしはじめたのと同時に、「中国のシリコンバレー」として深圳に注目が集まりました。このころ、テクノロジー中国社会をどう変えていくのかをまとめてみませんか? というオファーを編集者の方からいただきました。ただ、私一人では目まぐるしく変化する中国の現状をフォローできないので、月1ペースで中国に行かれている旧知の高口さんにお声がけしたのです」(梶谷さん) 昨年9月に、北京で3週間の集中講義を持った梶谷さんは、興味

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  • WEDGE Infinity(ウェッジ) [特集]子宮頸がんワクチン問題

    正しくは「速報と変わらず因果関係なし」 名古… 2016/06/27 村中璃子 「撤回」という言葉からは、名古屋市が「因果関係なし」という結論を翻したかのようなイメージを与えるが、全くそうではない。

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  • 土用の丑の日はいらない、ウナギ密輸の実態を暴く

    「絶対に名は出さないでくれ」 台湾のシラスウナギ(ウナギの稚魚、以下シラス)輸出業者は我々取材班にそう告げた。なぜ名を出すことを頑(かたく)なに拒むのか──。それは彼に「罪」の自覚があるからである。 日人の好物であるウナギを巡って、台湾、香港、日を舞台に壮大な「不正」が行われている。今回、取材班はその舞台である台湾、香港へと飛び、関係者らを取材した。 取材のアポイントメントを入れるのにはかなり骨が折れた。当たり前だが話すメリットなどなく、誰も話したがらないからだ。だが、様々なコネクションを使って、交渉を続けた結果、匿名を条件に複数の人物が取材を受けてくれた。 2011年12月、台湾の桃園国際空港で香港行きの航空機に搭乗予定の乗客のスーツケースから押収された2万匹のシラス(写真・TAIWAN FISHERIES AGENCY)

    土用の丑の日はいらない、ウナギ密輸の実態を暴く
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2017/07/24
    最後の鰻の葬式を行ったあと、果たしてadvanceできるや否や。
  • “考えさせる”と“悩ませる”は違う|水島精二監督

    議論ばかり繰り返していっこうに結論が見えてこない――そんな不毛な会議を経験したことのあるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。水島精二監督が語る、不毛な会議に陥らないための秘訣とは・・・? 水島精二氏(みずしま・せいじ)氏:アニメーション監督。『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)の演出などを経て、『ジェネレイターガウル』(1998)で監督デビュー。主な作品に『シャーマンキング』(2001)、『鋼の錬金術師』(2003)、『大江戸ロケット』(2007)、『機動戦士ガンダム00』(2007)、『UN-GO』(2011)などがある。2014年の映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』はオリジナル企画でかつ上映館数わずか13館であるにもかかわらず、1億7000万円を超えるヒットとなった。 ★ この連載について ★ 1のアニメ作品に関わるスタッフは100人以上。ア

    “考えさせる”と“悩ませる”は違う|水島精二監督
  • “イエスマン”がいたほうがいいんです|大地丙太郎監督

    「イエスマンを置いてはいけない」という言葉は、ビジネスの現場でもよく耳にします。しかし、大地丙太郎監督は「イエスマンがいないと作れない」と言い切ります。その真意とは・・・? 大地丙太郎(だいち・あきたろう)氏:アニメーション監督。『ナースエンジェルりりかSOS』(1995)でアニメ監督デビュー。主な作品に『こどものおもちゃ』(1996)、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(1998)、『十兵衛ちゃん』(1999、総監督)、『フルーツバスケット』(2001)、『信長の忍び』(2016)などがある。NHKで1998年から放送が開始した『おじゃる丸』は現在も放送中で、日中の子供たちに親しまれている。 ★ この連載について ★ 1のアニメ作品に関わるスタッフは100人以上。アニメーション監督は、そんな大所帯を率いて作品の完成を目指すプロジェクトリーダーだ。作品をちゃんとまとまっ

    “イエスマン”がいたほうがいいんです|大地丙太郎監督
  • 築地移転問題が改めて示した「ゼロリスク」の呪縛

    毎日のようにマスメディアで論じられている東京都・築地市場(中央区)の豊洲への移転問題の混乱は、小池百合子知事が豊洲市場(江東区)の安全に疑問を呈したことから始まった。豊洲市場の安全は科学的にも、法的にも担保されているし、どうみても築地には古さからくる多くの問題があり、豊洲移転以外の選択肢はあり得ないが、迷走を続けている。 豊洲市場などのように、汚染された土地を再利用する場合の法律は土壌汚染対策法であるが、環境省が作った解説書には、「土壌汚染があったとしても、摂取経路が遮断され、きちんと健康リスクの管理ができていれば、私たちの健康に何も問題はありません」と書かれている(2016年8月「土壌汚染対策法のしくみ」)。豊洲市場では、地下水を一切使用しないので、「摂取経路が遮断され」に該当し、法律上は飛散防止だけでよく、地下水質の測定義務もない。 豊洲市場の混乱の原因の第一は、多くの人が市場でこの地

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  • 格差縮小のカギは相続税強化にあり AIは人類の敵か味方か? 新しい技術が経済にもたらすインパクトを考える(後編)井上智洋×飯田泰之 WEDGE Infinity(ウェッジ) 2016年2月24日

    格差縮小のカギは相続税強化にあり AIは人類の敵か味方か? 新しい技術が経済にもたらすインパクトを考える(後編)井上智洋×飯田泰之 これからの技術革新によって起こることをめぐる対談の最終回。階層格差を放置すれば、いつか国全体が衰退していく。では、格差を是正する方法はあるのだろうか。そのために必要なのは「お金」と「文化」の再分配だ――。 衰退国に陥らないための教育の再分配を 飯田 「機械との競争」をここまでは労働者の側から考えてきましたが、経済全体への影響も考えてみたいと思います。人口知能の発達により、就労者一人当たりの生産性は間違いなく上がります。上がらなかったらそもそも導入する意味がありません。ただ、それがマクロの経済成長に結びつくのかどうかということです。 一人当たりの生産性は上がっても、それを上回るほど技術的失業が発生したら元も子もありません。生産される付加価値の総計が増えなければ、

    格差縮小のカギは相続税強化にあり AIは人類の敵か味方か? 新しい技術が経済にもたらすインパクトを考える(後編)井上智洋×飯田泰之 WEDGE Infinity(ウェッジ) 2016年2月24日
  • 「東大卒の保育士」がビジネスになる理由

    東大卒の保育士」がビジネスになる理由 AIは人類の敵か味方か? 新しい技術が経済にもたらすインパクトを考える(中編)井上智洋×飯田泰之 前回で明らかになったのは、AIなどの新技術がもたらす格差拡大の可能性だった。消える仕事に就く人と残る仕事に就く人の、違いはどこにあるのか。お金学歴だけでは得られない「財産」が、そこでは運命の分かれ目となってしまう。 AIとピケティの深い関係? 飯田 AIによって生じるであろう技術的失業や、賃金引き下げから逃れるために、人々はどの職種に移動するのでしょうか。正直なところ、現時点ではまったく見えません。 井上 既存の仕事が減っても新たな仕事が増えるから大丈夫なんだと断言する人もいますが、過去にそうだったからといって未来にあてはまるとは限りません。それが普遍的な経済の法則として成り立つ保証はどこにもないんです。僕の想像力では新しく生まれる仕事がイメージできな

    「東大卒の保育士」がビジネスになる理由
  • 機械に仕事が奪われる未来

    井上 オックスフォード大学でAIなどを研究しているマイケル・オズボーンとカール・ベネディクト・フライが、『雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表して話題になりました。彼らが「クリエイティビティ」と「ソーシャルスキル」、そして「マニピュレーション(操作)」の三要素が残っていく職種の条件だろうと仮定して調べたところ、マニピュレーションの要素がある職種はあまり残らないという予測になってしまいました。 事務労働のなかでも入力など定型的な業務仕事が代替されるのはわかっていたことですが、多くの肉体労働も代替されてしまう。タクシードライバーのような肉体を使って操作する仕事もなくなっていくし、ウェイターや理髪師のような仕事も残らない可能性が高いという予測は衝撃的でした。 飯田 マニピュレーション要素の強い種類の事務労働の代替は通説通りという見方もありますからね。 井上 彼

    機械に仕事が奪われる未来
  • 子どもたちが学校で学べない日本の水産業の実態

    平成12年(2000年)の農林水産業のホームページに、こんなやり取りが残っています。小学生からの「漁獲量が減少している理由をおしえてください」という質問で、それに対する同省の答えは次のようなものでした。 「漁獲量が減少しているおもな理由は、いわし漁の大幅な減少と遠洋漁業の減少です。いわしの漁獲量が減少した原因は、海水の温度が少し高くなったのではないかといわれています。また、遠洋漁業の減少は、過去においては、日の漁船は外国の近海まで行って魚をとっていましたが、外国の人も自分達で魚をとろうということになり、日の漁船は、外国の近海で魚をとりにくくなったことが要因となっています」 海外の水産業のことをよくご存知でない方々にとっては、全く違和感の無いやり取りだと思います。これに、学校で使用している地図帳にも出ているグラフを合わせてみると、日の水産業は衰退している産業という、すでにある漠然とした

    子どもたちが学校で学べない日本の水産業の実態
  • ノルウェー水産業に学び、東北水産業を日本一に!(後篇)

    先月に引き続き、今月は後篇となります。前篇では、多くの方々からのポジティブな反響をいただきました。沿岸に面した被災地の復興には、水産業が欠かせないことは言うまでもありません。ところが、具体的なアクションを起こす際、すぐに直面する問題があります。それは、政策を実行するための手がかりと正確な情報の不足です。 せっかくのノルウェーでの成功事例も、意図的ではないにしても、事実と異なって伝えられていたり、その間違った事実をベースに議論が展開されたりしたら、良い方向に向かうはずはありません。第二次世界大戦時の大営発表が正しくなかったことをご存知の方は多いと思います。「当は負けている」という情報や、「米国の国力との大きな違い」については国民に正確に伝えられていませんでした。もし、戦時中に一般の国民が米国や戦場を直接視察できていたらどうだったでしょうか? 事実を知っていれば、その対応は変わっていたかも

    ノルウェー水産業に学び、東北水産業を日本一に!(後篇)