楽天とTBSの3年半に及ぶ攻防が決着した。楽天がTBSに、自社保有の全TBS株の買い取りを求めたのだ。発行済み株式の19%強を持つ大株主としての発言力を背景に経営統合や事業提携を迫り、放送とインターネットの融合を狙った楽天の戦略は頓挫した。 楽天の撤収は、TBSが昨年12月、特定株主の株式大量保有を認めない「認定放送持ち株会社」への移行を決めた時点で予想されていた。ただ、楽天の最大の敗因は、肝心の「放送とネットの融合」による具体像を描けなかったことだろう。 楽天がTBS株の大量取得を公表した平成17年10月当時、ネット企業の勢いは頂点にあった。 株価上昇で膨れあがった時価総額をテコに、企業を買収・合併して業容を拡大した彼らが着目したのが、ネットよりはるかに強い影響力を持つテレビ局だった。同年春にはネット企業のライブドアもニッポン放送株の大量取得を通じて、フジテレビジョンの経営支配を図った。