北京オリンピックが閉幕してしばらく経った。その開幕式は内容面でも演出面でも、中国らしさが随所に発揮され、いかにも中国だという記憶を刻むものとなった。ベトナムの複数の新聞でも、翌朝には「印象」的という漢越語がローマ字で見出しを飾っていた。 その開会式は、8月8日の午後8時にスタートした。暑い日の遅い時刻に設定されたのは、その数字に因るものだという。つまり、その日時が選ばれたのは「八」という数字に意味があった。中国の浙江財経学院で会った大学生や大学院生も、開幕式に「八」が選ばれた理由を皆そのように認識していた。中国の人は「八」という数字を好む。それは漢数字に限ったことではなく、ナンバープレートでもアラビア数字の「8」が含まれるものは高値で取引され、「8888」と並べば、もう大変な価値が生じるプレミアものだという。 その理由は、「発財」(ファー・ツァイ fa1cai2)の「発」(发 發)、つまり
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