田中角栄がロッキード事件で逮捕されたのは、今からちょうど40年前の1976年7月27日だった。そのとき以来、膨大な報道が行なわれてきたが、いまだに謎が多い。本書はこれをアメリカの(秘密指定を解除された)公文書で検証したものだが、日本から見たイメージとまったく違う。 最大の謎は、なぜ事件がアメリカから発覚し、しかも田中角栄だけがやられたのかということだ。そのきっかけは上院外交委員会の多国籍企業小委員会(チャーチ委員会)にロッキード社の秘密資料が「ミステーク」で届けられたということになっているが、これはロッキード社の弁解で、この文書は正式の命令で届けられたものだ。 田中角栄が「独自の資源外交をやって石油メジャーの利権をおかし、アメリカの虎の尾を踏んだ」という説も証拠がなく、議会スタッフも否定している。そもそもこの事件には、石油メジャーはまったく関与していない。 きっかけは、1974年のウォータ