1.猿婿の不思議 『猿婿入り』・『猿の婿殿』或いは簡単に『猿婿』と呼ばれている民話がある 。大体こんな話だ。 ある百姓が、田へ草取りに行って、あまりに草が多いのに難儀し、 「この草を取ってくれる者がいたら、娘を嫁にやるんだが・・・」 と言う。すると、それを聞いていた猿がさっさと草取りを済ませてしまい、 「後で、娘を貰いに行くから」 と行って去る。 百姓は、大変な約束をしてしまったと後悔し、家に帰ると寝込んでしまう。 そこに、長女がやって来る。父は彼女に事情を話し、 「お前、嫁に行ってくれんか」 と頼む。だが、長女は、 「誰が猿の処へ嫁になんぞ行くもんか」 と怒って行ってしまう。 次に次女がやって来る。そして同じ事が繰り返される。 最後に三女(ふみ)がやって来る。三女は話を聞くと 「心配せんで、まま食べれ。猿の処にはおらが嫁に行くから」 こうして、三女は猿のもと