国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」が完成し、日本人が宇宙で活動する機会が広がった。次のステップとして宇宙開発関係者が描くのは「月に暮らす」時代だ。月探査に関する国の戦略はまだ固まっていないが、月面生活の実現に向けて基礎研究は着々と進んでいる。近い将来、日本の独自技術が月面で開花するかもしれない。(長内洋介) [写真でチェック]月面を模擬して開発した砂 ◆関節に人工筋肉 東京工業大大学院の小田原修教授(宇宙利用工学)は宇宙飛行士の毛利衛さんらと共同で、月面でも使用できる次世代型の宇宙服の開発準備を進めている。ISSで使う米国製の宇宙服は、ひじやひざを曲げにくい。月面を歩くなら、もっと柔軟さが必要だ。そこで目を付けたのは日本の折り紙。関節部分を扇形に折ることで、曲げやすい立体構造を考案した。 開発構想によると、関節部に形状記憶合金などを利用した「人工筋肉」を埋め、伸縮