家族がいて/友達がいて おうちとベッドと/ごはんの心配を/しなくてよくて 学校だって/楽しいのに なんでなのかな 寂しくなる理由なんて どこにもないのに 悲しいような 苦しくなるような 行き場のない/気持ちが 胸の奥から/出て行かない 高町なのは、齢九歳の春である。 月に吠える*1、じゃないけれど、わけもなく胸がつかえて、海に向かって吠えてしまうこともあるだろう。そんなことがあってもおかしくない年齢ではある。家族も友達もいて学校だって楽しいからこそ、理由もなく寂しさを感じることができる程度には、そして自分自身に違和感を持ち対象化できる程度には、彼女は心身ともに順調に育ちつつあるように見える。 言い忘れていたが、これは劇場版のコミカライズではない。あんなリリカルの欠片もない代物とはまるで別物である。構成は小説反におおむね準拠しているが、もっとも似ているのは新房監督によるTV版第一期の、あの微