あの DJ Harvey が8年ぶりに日本の地を踏む。「アメリカから出られないらしい」 「もう日本に来られないのでは?」……様々な憶測が飛びかってきたものの、突然の来日にダンスシーンが色めき立っている。 80年代後半。英国でレイヴカルチャーが産声をあげる。多くのDJが性急なビートにとりつかれたが、Harvey のDJは一風変わっていた。英国の労働者階級が育んできたノーザンソウル、レゲエ、ロック、ニヒルな英国蒐集盤文化に照らされたジャズ、ラテンまでを内包する ―― 後に 「NUハウス」 と呼ばれたそれは、とことんミュージカルな代物だったと呼べるだろう。いま、様々な音楽を呑みこんだモダンなディスコミュージックが草の根のように世界各地に広がっているが、その根を辿っていくと一本の幹につきあたるだろう。それが DJ Harvey だ。あらゆるものを可視化するネットワーク社会の中で、8年もの空白期間の