トップ > 特集・連載 > 結いの心 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事 【結いの心】 「つぶれても仕方ない」 トヨタの足元<6> 2008年5月16日 新川(右)の堤防が決壊し、水浸しになった工場や住宅=2000年9月12日、名古屋市西区で、本社ヘリ「あさづる」から 「えっ…」。トヨタ系の大手企業で仕入れ担当をしていた四十代の男性社員は思わず、声を失った。 コスト削減を依頼しようとしたある下請け業者が「見積もりの仕方が分からない」と口にしたからだ。 父ちゃん、母ちゃん、家族でほそぼそと経営する、いわゆる「三ちゃん」工場のひとつ。誰も帳簿の付け方すら知らなかった。それでは削減を求めようもない。どうするか。 「こっちで見積もるんです。うちは中間業者。高めに出したら、トヨタから『この値段でできる』って文句がくる。温情をかける余裕なんてない」 売上高が兆単位の巨大企業も