自らを「芦屋令嬢」と称し、名門・カイロ大学を“首席で卒業”。そしてニュースキャスターから政治家の道へ―― 小池百合子(71)は類まれなる自己演出力を発揮しながら、権力の頂点へと続く階段を上り続けてきた。しかし、その経歴には多くの謎があるのもまた事実。彼女は一体何者なのか? ここでは、ノンフィクション作家・石井妙子氏が3年半にわたる徹底取材を行い、小池氏の素顔に迫った『女帝 小池百合子』(文春文庫)から「序章」を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/続きを読む) その人はひどく怯え、絶対に自分の名が特定されないようにしてくれと、何度も私に訴えた。同じような言葉をこれまでに、いったいどれだけ耳にしたことだろう。 ある日を境に電話に出てくれなくなってしまった人もいれば、家族が出て来て、「二度と近づいてくれるな」と追い払われたこともあった。皆、「彼女を語ること」を極度に恐れているのだ。 彼女のことを