トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」 道義上の信用性を失っている欧州は、地政学上で弱小勢力になりつつある 2024年の欧州議会選挙で、地政学が争点の一つとして注目されたのに驚きはない。ウクライナとガザでは戦争が続いており、西側陣営と中国・ロシア陣営のあいだの緊張も高まっているからだ。中国・ロシア陣営は、南側諸国への影響力の拡大を狙い、「BRICSプラス」の加盟国も増やす構えだ(BRICSプラスの加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、UAE、エチオピア、イラン)。 一部の人にいわせれば、いま掲げられるべき大義は明確だ。欧州の未来は、軍事色の強いものにしなければならないという。ロシアの脅威にさらされているいま、欧州連合(EU)には、軍事力を強化し、加盟各国の国軍の予算を大幅に増やす選択肢しかないというわけだ。現在、対GDP比で1.5~2%の軍事費を3~4%に増や