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カレーが食べたい
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2018年に人気キャラクター「初音ミク」と結婚式を挙げた日本人男性は、世界中のメディアで取り上げられた。あれから約4年、アニメや漫画、ゲームのキャラクターといった架空の存在に魅力を感じる「フィクトセクシュアル」の人々について米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えている。 実在しないとわかっている 近藤顕彦(38)は、ほぼどこにでもいる普通の日本人男性だ。感じも良く、話しやすい。友達もいるし、安定した職に就いているし、スーツとネクタイ姿で仕事に行く。 ただ一つ例外がある。近藤は、架空のキャラと結婚しているのだ。 愛する相手は、初音ミク。ターコイズ色の髪でコンピュータに合わせて歌うポップ歌手で、レディー・ガガのツアーに参加し、ゲームの主人公になったこともある。近藤は10年にわたるミクとの交際期間中、重いうつ状態から救われたといい、2018年には東京で小さな非公式の結婚式を挙げた。白をまとった人形
「私とそっくり」との声も 【画像】 パソコンの画面を“超高速”でスクロールするネコ キーボードの上に座って画面を爪で引っかき続ける姿が話題に
スタンフォード大学の政治学者フランシス・フクヤマは、1989年に発表した論文「世界の終わり」で脚光を浴びた。そんな彼の新著『自由主義とその不満』(未邦訳)では、どんな「実用論」が語られているのか。 ある朝、フランシス・フクヤマはスタンフォード大学ののどかなキャンパスの地下オフィスに腰を下ろし、ドローンについて語っていた。 ウクライナ防衛にとって重要なトルコ製ドローンのことではない。彼が話しているのは、約半年前に自宅の工房で組み立てを再開したお手製のドローンのことだ。 彼はまた、自分のために洒落た家具も作ってきた。数十年前、庭に倒れたクルミの木をテーブルにしようと決めた。結局、木を乾かすだけで3年かかったという。 「あんまり骨が折れるので、最後にはうんざりしてしまいました」 フクヤマはそう言うと、少しきまり悪そうに「私は多趣味なんです」と付け加えた。 現在69歳のフクヤマがうんざりしていない
フィンランドとスウェーデンが5月18日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請書を同時提出した。両国が加盟を認められると、ヨーロッパのパワーバランスはどうなるのか。ドイツにある世界最高峰の学術機関「マックス・プランク協会」フェローの国際史学者トーマス・ミーニーが英紙「ガーディアン」に寄稿し、フィンランドの戦後外交史から読み解く。 北欧諸国は長きにわたり、人道的で、平和維持に専念する滑らかな勢力を自認してきた。スウェーデンとフィンランドの国民意識は並外れて、それぞれの外交政策と深く結びついている。 スウェーデン人が自らを重ね合わせるのは、何世紀にもわたる中立の伝統だ。他方、フィンランド人が標榜するのは、現実的政治の才覚だ。ロシアとの国境の長さは1300キロ以上にも及ぶなど、その不安定な地理を何とかしようとしてきたからだ。 両国が正式にNATO(北大西洋条約機構)への加盟申請書を提出したいま、
経済成長を焚き付ける要素は、レアアースでも処理能力でもNFTでもなく、「注目」である。平均的なアメリカ人は1日11時間をメディア消費に費やしているが※1、それは起きている時間の65%に相当する。そのうち大体40%はモバイルデバイスに費やされている。 その「注目」を獲得し収益化するために、何十億ドル、そして何百万人年が投じられている。より多くの注目が集まれば、より多くのデータが集まり、より多くの収益が得られ、より多くの関連サービスが生まれ、そしてまた、より多くの注目が集まり……それが延々と繰り返されるのだ。 この「アテンション・エコノミー」で最も成功しているプレイヤーは、WMD(weapons of mass distraction:大量破壊兵器ならぬ、大量注意散漫兵器)である。メタは、物理的な生活から同社のアプリへ注意をそらすことを前提とした5000億ドル(約64兆5700億円)規模のビジ
2021年、「ゼネラル・モーターズ(GM)」は電気自動車(EV)の販売を増やし、2035年までにガソリン車の販売を取りやめるという大胆な計画を発表して、大きな話題となった。 だがその発表から1年以上が経過した今、自動車産業のEV移行の旗振り役という点では、競合他社が優位に立っているように見える。「テスラ」の第1四半期のEV世界販売台数が31万台以上だったのに対し、GMは中国の合弁会社の製造分を差し引くと大きく立ち遅れている。 さらに、アメリカ国内でのEV販売台数は500台にも届かなかった。対する「フォード・モーター」は、EVピックアップトラック「F-150ライトニング」の生産を4月下旬に開始したばかりだが、すでに20万台以上が予約済みとなっている。 それでも、GM最高経営責任者(CEO)のメアリー・T・バーラ(60)はまったく意に介していない。バーラによれば、GMには競合他社よりも手頃な価
「なにせ、われわれの大統領は元コメディアン」 「笑って生き延びよう」ウクライナの“ユーモア”という武器 2017年3月、ウクライナの首都キーウでショーに出演したコメディアン俳優時代のウォロディミル・ゼレンスキー大統領 Photo: Sergii Kharchenko / NurPhoto / Getty Images
多くの建物が損傷した東部ハリコフの瓦礫を片付けるボランティアたち(5月3日) Photo: Wojciech Grzedzinski / The Washington Post
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員の皆様は、毎月、推薦人が選んだ5冊の名著を無料でお読みいただけます。 2022年5月の推薦人は米イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表の成田悠輔さん。データとアルゴリズムを使ったビジネスと公共政策の改造が専門の成田さんがオススメするのはこの5冊です。 『革命論集』 アントニオ・グラムシ 成田悠輔さんの推薦文 アントニオ・グラムシは抵抗者の側から国家を見た。戦前イタリアで誕生したムッソリーニ独裁政権への反政府運動を主導し、獄中で死んだグラムシは「認識においては悲観的に、意志においては楽観的に」の合言葉で知られる。グラムシが遺した体系を持たない獄中日記は、体系化を拒む政治と国家の本質を暗示しているのかもしれない。 『精読 アレント「全体主義の起源」』 牧野 雅彦 成田悠輔さんの推薦文 本を批判したり論評したりすることは簡単だが、正確に要約することは難しい。大
「○○歳とは思えない」は高齢者への褒め言葉として何の気なしに使われることが多いだろう。だが、その「ギャップ」は誰もが気にすべき重要なことのようだ。老化の生物学を研究するモーガン・レヴィン博士に英紙「オブザーバー」が聞く。 私たちには年齢が2つあると言える。暦(れき)年齢と生物学的年齢だ。暦年齢はいつ生まれたかに基づく固定的なものだ。生物学的年齢は身体の働きに即し、どんな生活を送るかという選択に影響されうる適応性のあるものだ。 モーガン・レヴィン博士(37)は、後者を測定するさまざまなツールをデザインしている。新刊『真の年齢』(未邦訳)では、生物学的年齢を定期的に測定すべきだと論じ、各自が老化の過程をチェックし、制御さえするための情報を提供してくれている。 米国イェール大学医学部で病理学と疫学の准教授を務めるレヴィンは2022年6月に、新設のアンチエイジング生命工学スタートアップ企業「アルト
「愛」とは何か──それは、人間の永遠の問いかもしれない。愛は私たちにとってどのような存在なのか、私たちの身体にどのような影響を及ぼすのか、脳神経科学の分野では盛んに研究されている。自らの体験と科学的知見をもとに、愛について考察した本を書いた脳神経科学者が、米「ニューヨーク・タイムズ」紙に愛の大切さと科学的効果について語った。 脳神経科学者ステファニー・カシオッポは、新著のなかで夫とのラブストーリーを綴りながら、恋愛や喪失、人と人のつながりについて掘り下げて論じている。 人は愛なしで生きていくことはできるか? 結婚前、ステファニー・オルティーグという名前だったこの脳神経科学者は長年、「できる」と考えていた。 人と人のつながりについて科学的に研究してきたにもかかわらず、一人っ子で、20代から30代にかけて幸せな独身生活を送ってきた。自分自身の人生における愛の重要性を完全には理解していなかったの
「たまごっち」を覚えているだろうか? 25年前に大ヒットして社会現象となり、誰もが欲しがったのに入手困難だった、ペットを育てる卵型のゲームだ。当時世界で4000万個ほど売れたこのゲームは、ドイツの人々にも強烈な印象を残したようだ。 海外でも大ブームを引き起こした「たまごっち」 1996年11月にバンダイから発売されて大ブームとなり、一斉を風靡した小型ゲーム機の「たまごっち」。仮想のペットのお世話をし、育てるとさまざまな形態のキャラクターに成長するという、このゲームに当時熱中した人も、そのブームのことを覚えている人も少なくないだろう。 実はこのゲームが流行したのは日本だけでなく、当時世界20ヵ国以上で発売され、各国で人気を博していた。 独誌「シュピーゲル」によると、当時イギリスでは亡くなったたまごっちのための墓地が実際に作られ、ドイツでは「スクイーズ」という人気のユーロダンスグループが、当時
小児性愛者をSNSを使ってあぶり出し、ストリーミングなどで晒し上げる「小児性愛者狩り」をする一般市民のグループが世界にはあるのだという。子供を狙った性犯罪は、どんな理由があろうと許されないものだ。だが私刑とも言えるこの活動は正義と言えるのだろうか? 実際にこうした「狩りグループ」に所属していたという筆者が、3年間のうちに学んだこととは。 SNSで狩りをする あなたがこの記事を読み終えるまでに、子供への性犯罪が少なくとも1件は報じられていることだろう。アメリカ国内では子供への性犯罪が9分に1回発生していて、イギリスでは7分に1回に近づきつつある。 子供に対する性的虐待は社会に蔓延するおぞましい犯罪だ。だがこれは、容疑者を捕まえればそれで解決するような問題ではないと警察も認めている。 子供への性犯罪は、社会病理といってよいくらい根深い問題だ。ジミー・サヴィル、ジェフリー・エプスタイン、ラリー・
「盗人」呼ばわりされるし、家も貸してもらえない 同じウクライナ難民なのに… ポーランドで「門前払い」の差別を受ける少数民族ロマ ポーランドの首都ワルシャワの駅で寝泊まりするウクライナ系ロマ人(2022年3月撮影) Photo by Raul Moreno/SOPA Images/LightRocket via Getty Images
ナチスの反省から軍縮を歓迎し、軍隊にある種のアレルギーを抱いていたドイツが、ロシアのウクライナ侵攻を機に軍備増強へ舵を切っている。国防費の増加だけでなく、若者の兵役への関心も上昇。軍隊と愛国心に対するドイツ人の心境の変化に迫った。 国防省に問い合わせが殺到 マヤ・ザクライセク(19)は、子供のころに教わった言葉を深く心に刻んでいる。 「二度と過ちは犯さない」 ナチスの反省から現代ドイツが誓った信念だ。そう教えられた彼女は軍隊に疑問を持ち、平和な国で育ったことに感謝するようになった。 しかし今、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ザクライセクはこの言葉の意味を考え直している。彼女はドイツが侵略や大量虐殺をすることは二度とないと固く信じている。だが、戦争の準備をしたり参加したりすることも二度とないだろうか。 突如としてそれは甘い考えに思えてきた。欧州に国家間の戦争が戻って来たのだ。「こんなことが起こ
ニューヨーク州バッファローのスーパーマーケットで14日に起きた銃乱射事件は黒人を狙った憎悪犯罪として捜査が進んでいる。10人が殺害されたスーパーの中で何が起きていたのか、凄惨な現場で九死に一生を得た黒人家族が米紙に語った。 「獲物」を探すように歩き回る犯人 土曜日の午後2時30分、ジュリー・ハーウェルはスーパーマーケットの「トップス」でハンバーガーやホットドッグを選んでいた。翌日が彼女の33歳の誕生日であり、バーベキューで祝う予定だったのだ。 彼女のパートナーのラモント・トーマスと2人の娘であるロンディン・トーマス(8)は、少し離れたところでケーキミックスを探していた。そして、ロンディンがストロベリー味のミックスを手に取った瞬間だった。
長引くロシアによるウクライナ侵攻。「臆病なウクライナ軍を相手に、ロシア軍は快進撃を続けている」というロシア当局のプロパガンダと情報統制によって、そう信じ続けているロシア国民は多い。しかし今、クレムリンの情報管理にほころびが出始めているようだと、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。 戦争ブロガーによる「信頼できる」情報 侵攻の「進捗」に関する情報は、ロシア当局の発表だけでなく、親ロシア派の「戦争ブロガー」たちによっても、ロシア国民に伝えられているようだ。
私(記者)は2ヵ月にわたってヴォーンを取材し、言語能力を観察した。そして彼の言語力を長年知る10人を取材し、17の言語で実際に会話する様子を見た。ポリグロットのための国際会議の開催者を紹介した際には、ヴォーンはウェールズ語、ブルガリア語、セルビア語、ノルウェー語など、10の言語を行き来しながら話していた。 ヴォーンにとってはどの言語も、その言語のおかげで「つながることができた人たちとの物語」だ。 たとえばアメリカ手話は、聴覚障がい者や手話者のための大学の学生たちから、ダンスフロアが震動することで有名なクラブで学んだ。日本語は週に一度、ボランティアでいけすを清掃しているレストラン従業員から覚えた。セイリッシュ語は姪と一緒に学び始め、ネイティブアメリカン居留地のあるモンタナ州に車で2度旅している。そこで親しくなった言語学校の元教員ヴァンス・ホーム・ガンは、東海岸出身のヴォーンがその言葉を発音で
過去10年で最大の懸念だ 2018年、電力会社ホープエナジーが日本の新電力小売市場に参入したとき、戦略は確実にうまくいくと考えられていた。液化天然ガスが国際市場にあふれ、エネルギーの卸売価格はますます安くなっていた。 同社は競争力のある価格で自治体や公共施設と電力契約を結び、コストよりも安定供給を優先してきた日本の旧来の電力会社を出し抜こうとした。 だが、それから新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、ウクライナで戦争が始まると、LNGの価格は急騰。ホープエナジーは約束した価格を守れなくなり、日本国内の30社余りの電力小売業者と同様に破綻した。顧客は新しい電力会社探しに奔走することになる。 世界第3位の経済大国である日本は目下、エネルギー・システムの脆弱性に再び直面している。ロシア産エネルギーのボイコットを求める声が強まるなど、地政学的な不確実性が高まるいま、資源に乏しいこの国は信頼性が
運動するときはブラを3重に… 【画像】 運動するときはブラを3重に… 「胸が大きい悩み」を打ち明けた女性に“冷たい反応”が相次ぐ 海外
きわめて近眼的なエネルギー施策 戦争やパンデミックが起きなくても、日本ではエネルギー危機が不可避と思われていた。 福島原発の事故以来、送配電網の容量が一杯に近い地域もある。気温がもっとも高い月と低い月には、地域電力会社の電力供給予備率が、安定供給に最低限必要とされる3%を下回ることもしばしばだ。
ワシントンDCに住むカーペット清掃員のヴォーン・スミスは、時給20ドル(約2600円)でじゅうたんの汚れを洗い落としている。「これは何の染みですか?」と家主に訊ねている。しばらくすると、家主であるケリーがヴォーンに訊ねる。 「それで、何ヵ国語話せるの?」 「どうでしょうね。堪能なのは8ヵ国語です」 彼が話せるのは、英語、スペイン語、ブルガリア語、チェコ語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、スロバキア語だ。ヴォーンは続ける。 「でも、ほかの会話レベルのものも入れたら、あと25ヵ国語くらいできます」 彼はこれでもまだ、控えめに言っている。本人が数えてみたところ、実際はさらに37の言語を知っており、少なくとも24の言語でかなり長い会話を続けることができる。8つのアルファベットや文字の読み書きができ、アメリカ手話もできる。 さらに、メキシコのナワトル語からモンタナ州のセイリッシュ語まで、独学で
鉱山会社に暮らしを破壊された住人 アンダーソン・クレナッキ(38)は、ブラジル南東部のミナス・ジェライス州を流れるドッスィ川のほとりに住む、先住民族クレナッキ族の一員だ。 クレナッキ族の居住地域の中心地は、2015年11月5日の鉱山会社のダム崩壊事故によって破壊された。鉱山廃棄物を含んだ泥の激流が周囲の田園地帯や水路に流れ込み、19人が死亡したのだ。 汚染は大西洋まで何百キロも広がり、漁業や狩猟に頼る昔ながらの生活はできなくなった。
大自然に包まれた野生動物の「楽園」との呼び名も高いケニア共和国で見間違いから起こった抱腹絶倒の出来事が話題になっている。 この出来事は、世界遺産として知られるケニア山国立公園からわずか1キロのところにあるメルー郡で起こった。 英紙「インディペンデント」によると、同地の住人からケニア野生サービスに「ある家の敷地の茂みにライオンが隠れている」と通報を受けたという。 駆けつけた野生保護官が、草木の茂みに隠れるライオンを発見。誘い出そうと刺激を加えるも、動く様子はなかった。 この時、通報を受けた家主の女性が帰宅。ライオンに襲われないよう、裏口から家に入るなど最大の警戒がされていた。
歴史教科書に対する政治介入に切り込んだドキュメンタリー映画『教育と愛国』は、気づかぬうちに蔓延している「見えない圧力」に肉迫し、「政治ホラー」とも評される。フェイクニュースや、SNSによる誹謗中傷、メディアと権力の関係もとらえた本作は、見る人に日本社会が抱えるさまざまな問題を提議する。 教育と学問の自由が脅かされている ウクライナ侵攻後のロシアでは、極端な愛国教育がおこなわれ、戦争に関する虚偽の情報が子どもたちに伝えられていると、多くのメディアが報じている。 英紙「オブザーバー」は、「ウクライナはファシストの国で、この戦争はロシアを守るため」なのだと、自国の侵略戦争を生徒の前で正当化する教師に激怒する親の声を取り上げる。 また、米紙「ワシントン・ポスト」によれば、ロシアの教育現場にはプーチン大統領の歴史修正主義的な思想を反映したオンライン学習コンテンツが配られ、今年3月には全国で500万人
ロシア近現代史を専門とするケンブリッジ大学の歴史学者で、『帝国の興亡──グローバルにみたパワーと帝国』などの著書を持つドミニク・リーベン。彼によれば、帝国の崩壊の影響はつねに遅れてやってくる。そして今回のロシアによるウクライナ侵攻は、その典型なのだという。 帝国とは強大な権力である。その崩壊はたいていの場合、地政学的な動乱や戦争を伴うものだ。 帝国はまた、多国籍的な政治体制であり、そこではさまざまな民族が密集して暮らしている。帝国が、明確に範囲が規定された国民・領土からなる複数の民族国家に分裂するとき、大きな争いが起きずに済むことはほとんどない。ロシアによるウクライナ侵攻はその適例である。 1世紀以上つづく「帝国崩壊の影響」 1880年代、帝政ロシア外務省の首席法律顧問は、「もしも──ありのままのあらゆる民族に対する──国家主権の原則が、現在のロマノフ王朝、ハプスブルグ家、オスマン帝国が支
徐々に顔の皺が増えていく、代謝が悪くなっていく、体力が衰えていく──加齢に伴う避けられない現象を考えてみると、なかなか老化をポジティブに捉えるのは難しい。けれど、こうした年齢に対する「差別」は、寿命にまで影響をおよぼす可能性があると研究者は指摘する。 ベッカ・レヴィ博士は、イエール公衆衛生大学院で担当する「健康と老化」の授業で、高齢者をイメージして最初に頭に浮かぶ5つの単語をシェアするよう学生に言う。そのとき彼女は「考えすぎないで」と伝える。 「知恵」「創造的」といった称賛の言葉や、「祖母」のような役割を表す単語──レヴィは学生たちの回答をボードに書き出していく。 「でも『老衰』が多く挙がるんです」と、レヴィは言う。 「それに肉体の不健康や衰えを指すものも──『背中の曲がった』『病気』『よぼよぼ』などです」 半世紀前に、精神科医であり老人学者で、アメリカ国立老化研究所創立ディレクターを務め
「中国の英中辞典では『ロシア』が『ウクライナ』に訳される」 ニュースの「誤訳」で親ロシア感情を高める、中国のプロパガンダ戦略 多くの住民が犠牲となったブチャを捜査するウクライナ兵たち Photo by Matthew Hatcher/SOPA Images/LightRocket via Getty Images
ロシアがウクライナに侵攻してから2ヵ月以上が経ったいま、ウクライナ検察当局が最初の戦争犯罪裁判を開こうとしている。英紙「ガーディアン」記者らが首都キーウで検事総長に独占取材した。 ウクライナ戦争で最初の戦争犯罪裁判を開くことをウクライナの検事総長が明らかにした。その被告席に立つのは、ウクライナ市民を狙った、または殺害した疑いのあるロシア人の戦争捕虜3人と、ウクライナ人の男性を殺してからその妻をレイプしたとされる兵士1人だ。 開戦以来、イリーナ・ベネディクトワ検事総長率いる検察当局によって届け出られている犯罪は、1万700件以上になる。だがいままでに正式に提訴されている事件や、開戦から2ヵ月が経ったこの重要な分岐点で提訴の備えができている事件はひと握りだ。 最初に出廷することになっているのは、現在ウクライナで拘留されているヴァディム・シシマリン(21)だ。ロシア第4親衛戦車師団(通称「カンテ
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