アドベンチャーゲームは本質的に何かがあるジャンルというより、何かがないことを特徴としているゲームジャンルだ。 戦闘システムがない、成長システムがない、戦略的なシステムがない、アクション要素がない(あったとしても重点的な価値が置かれていない)。一般的にアドベンチャーゲームのセールスが振るわないのは、こうした「何かがない」ことが理由のひとつかもしれない。 だが「何かがない」ことによって、アドベンチャーゲームはより明確に「ストーリー」、「キャラクター」、「コミュニケーション」、「調査」、「謎解き」などを重視することで、ビデオゲームにおけるそれらの可能性を広げてきた。新しいストーリーテリングの地平をアドベンチャーゲームは切り開いてきたのだ。 本記事は、そんなアドベンチャーゲームの開発者である伊東幸一郎氏と打越鋼太郎氏をお招きした対談企画となる。 おふたりの共通点として、ともにチュンソフトに在籍して