廃墟のような日本映画界に潜り込んで 映画の仕事を始めてもうそろそろ40年です。 何が凄いかって40年間ダマしダマしですがこんな使えない私がこの世界で生き抜いてきたこと、それよりも日本の映画産業が40年間無事に残ってきたことです。 本当にどん底だったなあ、とあの頃を思い返します。1950年代から1960年代にかけての黄金時代は体験したことはないけど、1970年を境に急坂を転がり落ちるように斜陽化していった日本映画界。超買い手市場で映画会社に入れるのは高学歴のエリートばかりだったのが、各社新規採用を削減し、とうとう見送るようになり、入社しても配属先は映画とは縁もゆかりもない着実な実業的な部署で、唯一の演出担当社員を大卒で採用していた奇特な会社は、ロマンポルノで糊口を凌いでいた“にっかつ”——かつては漢字の日活、最近も漢字の日活——だけでした。 だから、人材を選ぶなんて高い志も経済的余裕もない中