向田邦子さんとは強欲なところが似ている。 器を見て〝背筋がスーとして総毛立った〟ら買ってしまうところ。まぁ、彼女の稼ぎとは大差があるので、私は口惜しく眺めて帰ったりもするが…。 タイにアンコールワットを見物に行き、宋胡録の小壺を80個ほど買って帰ってきて、そのうち3つはミュージアム・ピースだったらしい。 写真を眺めるとこれまた私の好みなんである。そこら辺を散歩して摘んできた小花を生けたら素敵だなぁとか、墨に打つ水をこんな小壺に入れたら、なんかええのが描けそうとか思ってしまう。 邦子さんが東京美術倶楽部の歳末売り立てにいく随筆がある。 ①まずしっかりご飯をたべる ②現金は置いていく ③自宅を眺め、もう皿一枚も収納できないと言い聞かせる 上記の三点を儀式に、絶対に買わないぞと誓って家を出るのだが、染付の菊図皿に柿を盛ったら美味しいだろう、と思ったが最後、安南の茶碗まで買い込んでいる。やっぱりね