話しかけられないよう、触れられないよう、できる限り人から距離を置いていました。 それぐらい、外の人間が怖かったのです。 また、会いたい 「そのままで、いいんだよ」 また、会いたい そして、翌日。 この日の午後も母に店番を頼まれ、私はまた誰もいない店内で、一人、本を読んでいました。 目で活字を追いつつ、頭は別のことを考えていました。 (一人さん、また来るかな) 果たせるかな、一人さんはやってきました。 「やぁ、ひろこちゃん」 私は嬉しくてたまらず、つい大きな声で、 「お母さん、一人さんだよ。早く来て、お母さん」 すると、一人さんは笑って、 「ひろこちゃん、私はどこにも行かないから大丈夫だよ」 「でも・・・・・・・・・」 「いいんだよ。 今日はね、ひろこちゃんの顔が見たいなと思ってきたんだから」 「私?」 「そうだよ。もしよかったら、お茶を、ご一緒しませんか」 「えっ、私でいいんですか」 「も