日本におけるアール・ブリュットの受容──舛次崇、戸來貴規、小幡正雄、山崎健一 滋賀県立美術館では、4月20日から6月23日まで「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人」展を開催している。アール・ブリュット(Art Brut、以下AB)は、1940年代にフランスのアーティスト、ジャン・デュビュッフェが提唱した美術の概念で、日本語では「生(なま)の芸術」と訳される。デュビュッフェは、精神疾患者や独学のつくり手が生み出す独特の表現に関心を持ち、これをABと名付けた。ちなみに「ブリュット(Brut)」はシャンパン用語で、加糖されていない生の状態を意味し、辛口の味わいを示す(デュビュッフェはワイン商でもあった)。 日本では2010年頃から、ABが美術や福祉の業界で話題となり始めた。その最大のきっかけは、2010年にフランス、パリのアル・サン・ピエール美術館で開催された「アール・ブリュット・ジャ