味や鮮度を保つ加工技術や流通に優れた日本の水産業は、海外の有名シェフからも厚い信頼を得ている。高品質な魚の輸出拠点となっているのが、世界最大級の魚市場である豊洲だ。英誌記者が現地を訪れ、長年日本の水産業、飲食業を支えてきた「ヒト・モノ・カネ」のダイナミックな動きを取材した。 白いヘアバンド姿のヤマザキ・ヤスヒロは、痩せてはいるが屈強で、はつらつと店を切り盛りしている。 その周囲では従業員たちが魚をさばき、パック詰めにする作業をしている。東京ではよくあることだが、この店には隙間がほとんどない。ピチピチと跳ねるエビや、うごめくカニが入った水槽が迷路のように並ぶ。 青いバケツのなかでは魚たちが、まるで自分がまもなく食卓に供されることを予期しているかのようにせわしなく円を描き、山積みの白い箱にはありとあらゆる海産物が詰まっている。 大量に見えるこれらの商品も、普段あつかう量のわずか10分の1でしか

