たぐいまれなる雰囲気の本で、著者は裁判官で、膨大な量の法律に関する知識を持っていて、そこそこ地位もあったのだけど、現在は神からの光線(奇蹟)によって女体化していて、一日中休むことなく官能的快楽に見舞われていて、言葉を話す鳥や虫たちに囲まれ、周りの人物たちは頭部を交換し、ピアノを弾いていると尋常でない勢いで弦がちぎれてしまうので困っています、ということが600ページにわたって書かれている。 以前ぱらぱら眺めて、これはすごい本だ…って閉じていたけど、時間もあることだしちゃんと読もうと再び読み返したらおもしろかった。 なぜこれが出版されたか、ということとか、こういう症状になってしまって、その後、この本の流れとしてはどこに着地してしまうのか、ということとか、気になりながら読んでいたけど、だんだん伏線が回収されていって、最終的には、家族の愛のストーリーという感じで、意外と爽やかな読後感だった。 私の