前回の記事では、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたスタンレー・ドラッケンミラー氏が、ソロス氏の為替理論を用いてベルリンの壁崩壊後のドイツマルクをトレードした話を紹介した。 ドラッケンミラー氏: 誰もソロス氏の為替理論を理解していない 今回はこのソロス氏の為替理論をコロナ後のドル相場に適用しながら説明してみたい。 ソロス氏が解説するドルの値動き この為替理論は、ヘッジファンドという概念を作ったと言っても良いファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏が、自分の投資理論を解説した著書『ソロスの錬金術』で公開しているものである。 この為替理論では、インフレと財政赤字、そして中央銀行の利上げが組み合わさると、インフレ(つまり紙幣の価値下落)にもかかわらず為替相場では為替レートが上昇するとされている。 ソロス氏はそれを1980年代のドル相場をもとに説明しているが、ポール・ボルカー