柔道女子世界選手権に出場したイランの選手が、イスラエルの選手との対戦を避けるために政府から棄権を強要され、葛藤する様子を描いた映画『タタミ』。イスラエル出身のガイ・ナッティヴ監督と、イラン出身で監督・俳優のザル・アミールによる共同監督作品で、2023年の東京国際映画祭では審査委員特別賞と最優秀女優賞の2冠に輝いた。来日したナッティヴ監督と、プロデューサーで俳優のジェイミー・レイ・ニューマンに話を聞いた。 女性への抑圧が「過去のもの」になるように ──中東の緊張が高まるなかで『タタミ』が日本初公開となりました。まずはナッティヴ監督、いまどんなお気持ちですか? ナッティヴ 現在起こっているような戦乱は、残念ながら新しい状況ではありません。私が生まれた1973年にも戦争がありましたし、何度も似たような場面に出くわしてきました。今日に至るまで、常に緊張状態だったと言ってもいいと思います。 ──本作