挑発に充ち満ちた続編だ。その威嚇的な展開は正編支持者の神経を逆撫でし、コミックスを聖典とするファンの逆鱗に触れ、そしてなにより、前作そのものを躊躇なくひっくり返していく。 【動画】「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」特別映像 DCを代表するスーパーヴィランの出自を新定義した2019年公開の「ジョーカー」は、多量の投薬で自制を保つ派遣のクラウンが、社会からの孤立をトリガーに闇堕ちする、現実をミラーリングした語勢で世界に一石を投じた。バチェラーコメディ「ハングオーバー!!!」トリロジー(2009~2013)で笑いの属性を放ってきた監督トッド・フィリップスは、その流儀を悲劇へと容赦なく転調させ、バットマン神話の独自解釈を大胆にはかったのだ。 それから5年後、フィリップスが再び手がけたタイトルキャラクターの物語は、自ら新生させたはずのジョーカー像をも粉砕してしまう。副題に冠した「フォリ・ア・ドゥ」は、