休日の朝、パン屋さんへ朝食を買いに行くため外に出た。車に乗り込もうとしたとき、ふと近くのアパートのベランダで洗濯物を干している人が目に入った。 もう早朝とは言えない時間ではあったが、冬の朝の空気はまだキンと冷たく、濡れた洗濯物をひとつひとつハンガーにかける作業はとても寒そうに映った。車を発進させてからも、その人が洗濯物を干していく映像がなんとなく頭に残り続けた。 なぜこんな何てことない光景が引っかかるんだろうと不思議に思っていたが、しばらくしてある可能性に思い当たった。「屋外で洗濯物をハンガーにかけていく」という作業を自分はしないからかもしれない。 ■ わたしが見たあの人はたぶん、洗い終わった服たちをカゴに入れて屋外にある物干し竿まで運び、そこでハンガーにかけたりピンチで挟んだりしていたんだろう。一方わたしは、カゴに放り込むところまでは同じだが、すべての洗濯物をあとは物干しにかけるだけの状